毎日仕事で、Excelの内容をWebフォームに入力する作業を行っています。
毎回セルの内容を変更するたびに、手動でWebサイトに登録するのが大変で時間もかかります。
WebサイトにExcelデータを自動で転記する良い方法はないですか?
Power Automate Desktopを使うと、Excelで作成したデータを、Webフォームに自動入力してくれます。
一度Power Automate Desktopで設定しておくと、次回からはExcelのセル内容を変更するだけでWebフォームに自動転記してくれます。
Power Automate DesktopのWeb操作で、MicrosoftのEdgeやGoogleのChromeなどのブラウザーを操作することができます。
Webサイトから、Webデータを抽出することや、スクリーンショットの取得、Webフォームの入力などができます。
例えば行政が発信しているWebサイトから情報を取得して、Excelに貼り付けることや、クラウドの経理ソフトにExcelデータを自動転記することや、Webの労務管理ソフトを操作することもできます。
今回は、例としてPower Automate DesktopにExcelデータを取り込み、ハローワークインターネットサービスの雇用保険被保険者資格取得届に、取り込んだExcelデータを自動でWebサイトに登録し、PDFファイルを作成する方法をご紹介します。
作成手順は
1.Excelデータの作成
2.Power Automate Desktopを起動
3.特別なフォルダーを取得
4.Excelデータの取込
5.webサイトに登録
完成形はこちら
順を追って説明します。
1.Excelで雇用保険被保険者資格取得届に入力するデータを作成
最初にWebサイトの雇用保険被保険者資格取得届を参考に、必要な項目をExcelに入力していきます。
参考にする帳票は、ハローワークインターネットサービスの帳票一覧から確認できます。
帳票一覧はこちら→帳票一覧
1.帳票一覧から、雇用保険被保険者資格取得届を選択します。
2.個人情報の取り扱い及び利用上の注意を読み、同意する場合は「同意」にチェックします。
3.次に「内容を入力して印刷」をクリックします。
※注意点として、入力する項目をサイトの形状に合わせてExcelデータを作成します。
例えば「2.被保険者番号」は入力する項目が3つに分かれているので、Excelの入力セルも3つに分けて入力します。
Webサイトのドロップダウンリストで選択する項目は、Webページに掲載されている名前を正しくExcelに入力します。
例えば「9.被保険者となったことの原因」で1:新規雇用(新規学卒)とセルに入力します。
入力作業を楽にするため、Excelでドロップダウンリストのリストを別のワークシートに作成して、データの入力規則のリストで入力すると間違いも減ります。
別の記事に「データの入力規則」の操作方法を紹介しています。該当記事はこちらのリンクか、下記の関連記事をご参照ください。
次の注意点として、Web上に入力するアクション設定の際に、列名を変数の後ろに使用しますので、どの部分の列名と、セルの内容がリンクするのかを把握する必要があります。
2.Power Automate Desktopを起動
1.次にPower Automate Desktopを起動し、「+新しいフロー」を作成します。
2.フローの内容が解かるように、フロー名を入力します。
3.フロー名を入力したら、下にある「作成」をクリックします。
新しいフローが作成されます。
3.特別なフォルダーを取得
次にデータを開く時に、デスクトップ環境がユーザー毎に違うので、特別なフォルダーを取得でユーザーに合わせたパス(ファイルの保存場所)を取得します。
1.アクションのフォルダーから特別なフォルダーを取得をダブルクリックするか、右のワークスペースのにドラッグします。
※特別なフォルダーを取得の詳しい説明は別の記事に掲載しております。該当記事はこちらのリンクか、下記の関連記事をご参照ください。
※順番通りにアクションが実行されますので、アクションをワークスペースに配置する際に、順番通りに配置します。
2.「特別なフォルダーを取得」が表示されたら、特別なフォルダーの名前:を上記のPDFファイルやExcelファイルの保存場所に指定します。今回はデスクトップに保存してあるのでデスクトップにします。
特別なフォルダーのパスは自動的に決定されます。
3.「保存」をクリックします。
生成された変数:SpecialFolderPath
4.Excelデータの読み込み
次に先ほど作成したExcelファイルのデータをPower Automate Desktopに取り込みます。
アクションの流れは
1.Excelの起動
2.アクティブなExcelワークシートの設定
3.Excelワークシートから最初の空の列や行を取得
4.Excelワークシートから読み取り
5.Excelを閉じる
※別の記事にExcelデータの読み込方法の詳しい説明を掲載しておりますので、記事を参考にアクションの設定を行います。該当記事はこちらのリンクか、下記の関連記事をご参照ください。
5.実行テスト
1.ここまでで一度、フローの実行を行い、フロー変数にデータが格納されるか確認を行います。
画面右にあるフロー変数には、今は何も入っていない状態です。
2.上にある「▷実行」をクリックするか、メニューにあるデバッグの▷実行をクリックして、フローの実行を行います。
3.フローが実行されたら、画面右側のフロー変数の場所に、アクションで生成された変数の中にデータが格納されました。
ExcelData:EXCELファイルから読み取ったデータが格納されています。
ExcelInstance:EXCELインスタンが入ります。
FirstFreeColumn:空白列を取ってきます。
FirstFreeRow:空白行を取ってきます。
SpecialFolderPath:特別なフォルダーを取得します。
上記の各フロー変数の青文字の名前の所をダブルクリックすることで、中身が確認できます。
試しに{☓}ExcelDateをダブルクリックして中身を確認してみます。
Excelワークシートから読み取りで読み取ったデータが格納されています。
入力する項目によって行と列の数字が変わります。
詳細をクリックして、列名を指定できるように「範囲の最初に列名が含まれています」にチェックを入れたので、#の行に列名が表示されています。
※注意点としてPower Automate DesktopはExcelと違い、最初の番号が0から始まります。
4.確認が終わったら「閉じる」をクリックします。
6.Webページに登録
ハローワークインターネットサービスの雇用保険被保険者資格取得届の帳票を開いておきます。
※ハローワークインターネットサービスの帳票一覧のリンクはこちら→帳票一覧
帳票一覧から、雇用保険被保険者資格取得届を選択します。
個人情報の取り扱い及び利用上の注意を読み、同意する場合は「同意」にチェックします。
次に内容を入力して印刷をクリックします。
今回のWebサイトに登録する時に、使用するアクションは5つです。
・Loop処理
・新しいMicrosoft Edge を起動する
・Webページ内のテキストフィールドに入力する
・Webページでドロップダウンリストの値を設定します
・Webページのボタンを押します
このアクションを使ってExcelデータをWebサイトに登録します。
完成形はこちら
Webサイトに登録する時に、使用する5つのアクションを説明します。
6-1.Loop
Loop処理を実行して人数分の雇用保険被保険者資格取得届のPDFを作成します。
一人ならLoop処理を使用しなくてもいいのですが、2人以上の場合は、最初に戻って同じ処理を繰り返して、人数分PDFの作成を行います。
1.アクションのループで「Loop」をダブルクリックするか、「Excelを閉じる」の下にドラッグして、ワークスペースに追加します。
2.Loopの設定画面が表示されたら、下記の内容を入力します。
・開始値:0と入力します。
※Power Automate DesktopはExcelと違い、最初の番号が0から始まります。
・終了:%ExcelData.RowsCount – 1%を直接入力するか、右にある{☓}をクリックして、ExcelDataの.RowaCountをダブルクリックして-1を追加します。
※ExcelData.RowsCountとはExcelデータの行数が格納されています。
-1にするのは、0から始まるため、行数が2の場合、012と3回繰り返してしまうので、1行減らします。
・増分:1と入力します。
Excelデータを1行ずつ処理したいので、1行終わったら、次の行に移動するため1を入力します。
3.設定が終わったら「保存」をクリックします。
6-2.新しいMicrosoft Edge を起動する
開いてある、雇用保険被保険者資格取得届の帳票のページを使います。
実行中のWebサイトに接続します。
1.ブラウザー自動化の「新しいMicrosoft Edgeを起動する」をLoopの中に配置します。
2.必要な設定を行います。
起動モード:実行中のインスタンスに接続する
・現在開いているページに接続します。
Microsoft Edgeタブに接続する:タイトルを使用
・タブのタイトルに接続します。
タブのタイトル:ハローワークインターネットサービス – 雇用保険被保険者資格取得届入力
・現在開かれているページのタブ名を入力します。
3.設定を保存します。
6-3.Webページ内のテキストフィールドに入力する
例として2.被保険者番号を入力する設定を行います。
1.Webフォーム入力の「Webページ内のテキストフィールドに入力する」を配置します。
2.パラメータの選択で、UI要素とテキストの入力を行います。
2-1.設定画面の「UI要素:」の右側にある、下向き矢印をクリックして、「UI要素の追加」をクリックします。
Webページを開いて、入力する項目にカーソルを持っていき、入力箇所に赤枠が表示されるので、Ctrlを押しながら左クリックして追加します。
2-2.テキスト:に%ExcelData[LoopIndex][‘2の1被保険者番号’]%と入力します。
※変数に格納されている、ExcelDataのLoopIndex行目にある、列名[‘2の1被保険者番号’]のデータをWebページに入力する操作を行います。
列名に文字列を使用しているので、文字列に'(シングルクォーテーション)で囲みます。
3.設定を保存します。
上記と同じ操作を繰り返して「2の2被保険者番号」と「2の3被保険者番号」の設定を行います。
6-4.Webページでドロップダウンリストの値を設定します
例として3.取得区分を入力する設定を行います。
1.Webフォーム入力の「Webページでドロップダウンリストの値を設定します」を配置します。
2.パラメータの選択でUI要素、操作、オプション名の設定を行います。
2-1.設定画面の「UI要素:」の右側にある、下向き矢印をクリックして、「UI要素の追加」をクリックします。
Webページを開いて、入力する項目にカーソルを持っていき、入力箇所に赤枠が表示されるので、Ctrlを押しながら左クリックして追加します。
2-2.操作:「名前を使ってオプションを選択します」に設定します。
2-3オプション名:%ExcelData[LoopIndex][‘3取得区分’]%を設定します。
3.設定を保存します。
残りの入力項目
※残りの入力項目に、同じ作業を繰り返して設定してください。
他の入力項目は完成形を参考に、上記の「Webページ内のテキストフィールドに入力する」と「Webページでドロップダウンリストの値を設定します」の設定を使い、残りの入力項目を設定していきます。
6-5.Webページのボタンを押します
上記の入力項目の設定が終わったら、「帳票を作成」ボタンを押して、次に2人以上いる場合は「続けて作成」ボタンを押すアクションを設定します。
1.Webフォーム入力の「Webページのボタンを押します」を配置します。
2.設定画面の「UI要素:」の右側にある、下向き矢印をクリックして、「UI要素の追加」をクリックします
Webページを開いて、帳票作成にカーソルを持っていき、赤枠が表示されるので、Ctrlを押しながら左クリックして追加します。
3.設定を保存します。
4.同じ方法で、「続けて作成」のボタンを押す設定を行います。
7.フローの実行
1.上にある「▷実行」をクリックするか、メニューにあるデバックの▷実行をクリックして、フローの実行を行います。
※フローの実行の前に、Webページを最大化しておき、文字を半角にします。
実行が始まったら、マウスやキーボードを動かさないで、待機します。
フローの実行がうまくいったら、ダウンロードにPDFファイルが保存されます。
8.作成された雇用保険被保険者資格取得届
ダウンロードにPDFファイルが保存されるので、開いて確認します。
例として雇用保険被保険者資格取得届を作成しました。
これからもPower Automate Desktopを使った、業務の自動化の方法を掲載したいと思います。
9.注意点
注意点として、違うデスクトップの環境や条件の変化で正しく実行しなくなる場合があります。
Aさんのデスクトップ上で作成したフローを、Bさんのデスクトップ上で実行しても、うまく作動しない場合があります。
その場合は、そのパソコン環境で、入力位置の微調整が必要になります。